医院開業虎の巻
立地条件と収入予想
収入計画の中で重要なのは患者数が何人見込めるのか(需要予測)です。
そのために開業立地の診療圏分析は、重要なファクターです。
地価が安い、前から持っている土地だからでは開業後に十分な収入を見込めません。
主な検討項目は次のとおりですが、各項目はお互いに関連しているので十分に検討しましょう。
土・日・祝日に関係なく、開業無料相談を行っております、お気軽に問い合わせください。
診療圏立地診断(診療圏分析)のポイント(View診療圏立地診断システムはこちらから)
1. | 自院の医院開業候補地に打点をする |
2. | コンパスで、500m、1km、1.5kmの目安の円線を引く |
3. | 競合他院の場所に打点する |
4. | 自院に通じる導線(道路、鉄道など診療圏内の患者さんが自院に近づくために利用する通路:診療圏側からの発想が大切)に着色する |
5. | そこを通らないと行けない個所(踏切、橋、高架橋、アンダーパス等)に丸印をつける |
6. | バリア(分断要素)を塗りつぶす |
7. | 人口の張り付きのないエリアも塗りつぶす |
8. | マグネット(吸引要素)に印をつける |
9. | マグネットから目安の円線に接するように直線(矢印)を引く |
10. | 診療圏は矢印の向きと反対側大きく広がる(真円にはならない) |
11. | 診療圏外郭線を引く |
想定診療圏が引けたら診療圏内の実地調査に行きましょう
1. | 診療圏外郭線の際(きわ)を検証する |
2. | 診療圏内の医療事情を住民からヒヤリングする |
3. | 競合他院の診療時間帯、患者の込み具合などをリサーチする |
4. | 実地調査で得たデータを基に診療圏外郭線を見直し診療圏を確定する |
以上の作業が終了したら住民基本台帳より診療圏内人口を確定し受療率を掛算する事によって診療圏内の顕在患者数を算出することができます。
机上と実地調査をすり合わせすることによって、候補地は医院経営が成り立つ立地であるかを冷静に判断します。
医院開業を後悔しないためにも、しっかりした立地診断が必要になります。単なる無料の診療圏分析で判断するほど成功する医院開業は望めないのです。
収入予測の立て方
需要予測とは、自院の診療圏に何人の顕在患者(受療率から算出した患者数)がいて競合他院との引き合いによって自院のシェアが何%見込めるかによって患者数を予測します。
調査項目、算出手法は下記のようになります。
1. | 立地環境調査(医療機関としてふさわしい環境か?) |
2. | 自院診療圏設定(真円にはならない) |
3. | 診療圏内人口調査(直近の住民基本台帳) |
4. | 競合他院医療機関調査(標榜診療科、診療時間帯、診療日数、医師数、看護師数) |
5. | 診療圏内患者数算出 |
6. | 自院推計シェア算出 |
7. | 推計患者数算出(採算可能な患者数か?) |
8. | 診療日数、診療単価を掛算し医業収入を算出する(医院経営が成り立つ医業収入か?) |
以上の手順で算出した医業収入をもとに、設備等投資計画、人件費計画、経費計画から必要な借入金額を算出し、返済計画(返済期間、借入利息)からキャッシュフロー収支が赤字にならなければ、開業候補地での開業が可能になります。
会計のプロだから、現実的な事業計画を作成いたします。開業してから多くの患者さんの来院が見込め、成功する医院開業を実現するために、常に中立な視点でのコンサルティングをいたします。
医院開業の手続
医院開業にあたっては、医療機関としての許可申請または届出の手続きが必要です。
診療所を開設した場合には開設届を、X線装置を設置した場合はX線装置設置届を保健所に届ける必要があります。
また、税務、労務上の手続等も複雑に発生します。主な手続きは、次のとおりです。
保健所
・診療所開設届
・診療所使用許可申請(無床診療所は必要なし)
・X線装置設置届
福祉事務所か生活保護課
・生活保護法医療機関指定申請書
・身体障害者福祉法医療機関指定申請書
厚生局
・保険医療機関指定申請書
・保険医登録変更届(所轄厚生局が変わる場合に必要)
・各種施設基準の届出
労働基準監督
・労働災害保険医療機関指定申請書
・労働保険概算保険料申告書
・適用事業報告
公共職業安定所
・雇用保険適用事業所設置届
・雇用保険被保険者資格取得届
*各種助成金制度があるので、開業準備の段階で安定所に事前相談することをお勧めします
年金事務所
・健康保険、厚生年金新規適用事業所届
・被保険者資格取得届
・被扶養者届
税務署
・個人事業の開業等届出
・所得税の青色申告承認申請書(届出に期限があるので注意が必要)
・給与支払事務所等の届出書
・青色事業専徒者給与(届出に期限があるので注意が必要)
・棚卸資産の評価方法の届出
・減価償却資産の償却方法の届出
・源泉所得税の納期特例の届出